「異常なし」で安心?数値の裏側の“真実”を専門家が解説
正しい健康診断結果の見方
- 健康診断
- 生活習慣病
- 老化

教えてくれたのは
池谷敏郎 (いけたに・としろう)さん
医学博士。池谷医院院長として臨床現場に立つなか、心臓、血管、血圧など循環器系のエキスパートとして多方面で活躍中。著書に『そんなにガマンしなくても健康診断A判定は取り戻せる!』(すばる舎)などがある。「世界一受けたい授業」(日本テレビ)、「林修の今でしょ! 講座」(テレビ朝日)などにも多数出演。
健康診断は「異常を探す」から「老化を読む」時代へ
ここ数年で、健康診断結果の捉え方が変わりました
これまでの健康診断
異常値を発見して「健康か病気か」を見分ける
これからの健康診断
変化や推移を重視して「予備群」の段階から対処
健康診断結果の数値は、「健康か病気か」を厳密に見極めるものではありません。今の体がどんな状態なのか、将来のリスクにはどんなものがあるかを知ってもらい、生活習慣をあらためるヒントとして使ってもらうための指標です。今回の結果だけを見るのではなく、「前年より上がったか」「複数項目が同時に悪化していないか」など、医師のアドバイスを聞きながら総合的に分析し、健康のために何ができるかを考える大切な指標なのです。
健康診断の基準値や判定方法は、つねに固定されているのではなく、そのときの問題意識に影響されて見直されています。例えば近年、血糖や脂質の評価は以前より細かく整理され、生活習慣病リスクの早期把握を重視する方向に。さらに、クレアチニンなど腎機能に関わる検査の重要性が高まり、単なる「病気の発見」から「老化を見据えた予防」へ意識が変わりつつあります。次のページからは、主要5項目の大事なポイントについて、解説していきます。
医師が教える! 65歳以上が意識すべき主要 5項目
池谷さんが「65歳以上の場合、特に注視している」という主要5項目をご紹介。その数値がどんなことを意味しているのか、改めてチェックしてみましょう。

放置は危険! 血管を傷つける動脈硬化の原因
血圧は、血液が血管の壁を押す力を示す数値。高い状態が続くと血管が傷つき、動脈硬化が進行。心筋梗塞や脳卒中、腎機能低下などのリスクが高まります。年齢によって誰でも起こる「血管の老化」は決して見逃せません。

血管をサビつかせる恐ろしい糖尿病リスク
血糖値は血液中のブドウ糖の量、ヘモグロビンA1cは過去1~2ヵ月の平均的な血糖状態を示します。高血糖が続くと血管がサビついたような状態になり、動脈硬化が進行して糖尿病予備軍に。心筋梗塞や脳梗塞のリスクも高くなります。

脂質が血管に入り込み動脈硬化の原因に
脂質検査は、血液中の脂肪バランスを調べる検査。「善玉」のHDLコレステロール値は余分な脂質を回収して肝臓へ運ぶ働きを反映しています。中性脂肪や「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールが多すぎると血管に脂肪がたまり、動脈硬化の原因に。

お酒や脂肪で、肝臓が傷ついているサイン
肝臓の状態を知るための代表的な数値です。肝臓に炎症や脂肪の蓄積が起こると、細胞が傷つき、左の3つの数値が示す酵素が血液中に漏れ出し異常を示します。飲酒、肥満、薬の影響などで数値が上昇することがあります。

痛風や結石だけでなく動脈硬化の原因になる
尿酸値は、体内で不要になった老廃物「尿酸」の量を示します。増えすぎると固形化し、痛風や尿路結石の原因に。高尿酸血症は、腎機能障害や動脈硬化の原因にもなり、脳卒中や心筋梗塞のリスクとなります。
次回は「健康診断の数値の注意すべき点と改善ポイント」を解説します。

